ここから私たちは先回りして待っていたバスに再び乗った。「今度はJR大糸線を見学します」と和澤さん。そう、昨日私たちが乗って、ここまでやってきたあの大糸線だ。大糸線の南小谷駅と中土駅の間は、傾斜地帯で雪の吹き溜まりが起きやすい。吹き溜まりによって雪がひさしのように張り出す現象・雪庇(せっぴ)を防止する「雪庇防止柵」は、雪庇から発生する雪崩や落雪などで線路が塞がれ交通障害が引き起こされるのを防いでいるのだ。
そして面白いことになんとこの雪庇防止柵、実はレールの廃材を利用して作られている。線路を守っているのが、実は古い線路だなんて、すごいリサイクルだなあ、と感心した。
次に向かったのは「川尻 雪庇防護付擁壁」だ。この地域は昔から大きな雪崩が発生しやすい地形で、たびたび交通障害が起こっていた。この防護柵付擁壁は、雪崩を食い止めるとともに、擁壁の後ろにデブリを留めるスペースがあるのが特徴だ。高い分厚い擁壁の上にある柵の向こう側には、実際のデブリを確認できた。この擁壁のおかげで、いまはこの道路での雪崩による交通障害はなくなったわけだ。