未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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災害と共に生きる村の新しいツアー! 人々の生活とインフラを守る防雪施設めぐり

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.231 |13 April 2023
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#4集落を守る雪崩減勢工

遠くに輝く白馬三山

続いて向かったのは梨平集落。集落の入り口からは白馬連峰が遠くに見えた。小谷村観光連盟の職員でツアーの企画・実施を担当する伊藤嘉一さんがいわゆる「白馬三山」(白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬岳)を教えてくれて、皆しばし立ち止まって、輝く山々を見つめた。

梨平集落のはずれから、雪深い坂道を上方に向かって登ること数分。山の中に不意に巨大な構造物が現れた。これが「梨平 雪崩減勢工(なだれげんせいこう)」だ。直径50センチほどの鋼管が格子型に組まれた構造物の高さは10メートルはあろうか。

和澤さんの解説を真剣に聞き入る参加者たち

雪崩は水流と違って速度が遅くなると急速に硬化する性質がある。なので雪崩は完全にせき止める必要性はなく、このように格子状になっているのだという。小谷村の山間部の集落では雪崩の被害は歴史的に深刻であり、近代的な防雪施設ができる以前は人々に大きな被害をもたらしてきた。しかしこの雪崩減勢工のおかげで、梨平集落の30戸の安全が保たれているという。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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