未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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めざせ!日本一のサイクリングの街・土浦

路地裏から湖までを巡る自転車の旅

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.123 |10 October 2018
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#4いざ散走ツアーへ!

土浦の街の路地裏を抜けてゆく。

 いよいよ「散走」がスタート! 実際に走り出すと、最新式の散走向け自転車は、とても乗り心地が良い。自転車を漕ぐ足はとても軽く、そしてギアもデジタル式なので、操作が簡単だ。颯爽と先導する大澤さんは、時折私たちを振り返りながら、早すぎず遅すぎず、快適なスピードで自転車を漕いで町の中を進んで行く。
 まずは城下町の風情が残る、蔵のある通りへ。蔵を横目に黄色い集団が通りを抜けると、街の人はみな「お!いいね!サイクリング!」とでも言いたそうな笑顔で立ち止まって、眺めている。こんにちは、と声をかけてくれる人もある。

 「散走」はあまりスピードを出さないで、景色を楽しむのが大切なポイントだ。一番後ろで参加者をフォローする井上さんとともに自転車を走らせる。今日の参加者はみな、教習所で免許取得を目指す人達に運転技術を教える、いわば車の運転の「プロ」だ。「そんな教習所の先生たちに、あえて車ではめったに走らない、路地裏を走ってもらおう、というルートなんです!」と井上さんが走りながら教えてくれた。

  • 走りながらの手信号はなかなか難しい!(左)
    土浦全国競技花火大会の桟敷席を工事中の桜川河川敷(右)

 さて時折みんなで声を掛け合ったり、先導の大澤さんから送られてくる手信号を、さらに後ろの人に送ったりしながら街を抜け、今度は坂を上がって桜川沿いの道をのんびりと走る。河川敷では何やら工事が行われている。これは「あと2週間後に迫った土浦の花火大会の桟敷席の準備なんだよ。花火大会の日はこの辺りは人手がたくさんですごいよー、歩けないくらいだよ!」と教習所の先生たちが走りながら教えてくれる。
 そんな土浦ならではの珍しい風景が見れるのも面白い。そして桜川からの風は、とても気持ちよかった。

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未知の細道 No.123

松本美枝子

1974年茨城県生まれ。生と死、日常をテーマに写真と文章による作品を発表。
主な受賞に第15回「写真ひとつぼ展」入選、第6回「新風舎・平間至写真賞大賞」受賞。
主な展覧会に、2006年「クリテリオム68 松本美枝子」(水戸芸術館)、2009年「手で創る 森英恵と若いアーティストたち」(表参道ハナヱ・モリビル)、2010年「ヨコハマフォトフェスティバル」(横浜赤レンガ倉庫)、2013年「影像2013」(世田谷美術館市民ギャラリー)、2014年中房総国際芸術祭「いちはら×アートミックス」(千葉県)、「原点を、永遠に。」(東京都写真美術館)など。
最新刊に鳥取藝住祭2014公式写真集『船と船の間を歩く』(鳥取県)、その他主な書籍に写真詩集『生きる』(共著・谷川俊太郎、ナナロク社)、写真集『生あたたかい言葉で』(新風舎)がある。
パブリックコレクション:清里フォトアートミュージアム
作家ウェブサイト:www.miekomatsumoto.com

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。