いよいよ「散走」がスタート! 実際に走り出すと、最新式の散走向け自転車は、とても乗り心地が良い。自転車を漕ぐ足はとても軽く、そしてギアもデジタル式なので、操作が簡単だ。颯爽と先導する大澤さんは、時折私たちを振り返りながら、早すぎず遅すぎず、快適なスピードで自転車を漕いで町の中を進んで行く。
まずは城下町の風情が残る、蔵のある通りへ。蔵を横目に黄色い集団が通りを抜けると、街の人はみな「お!いいね!サイクリング!」とでも言いたそうな笑顔で立ち止まって、眺めている。こんにちは、と声をかけてくれる人もある。
「散走」はあまりスピードを出さないで、景色を楽しむのが大切なポイントだ。一番後ろで参加者をフォローする井上さんとともに自転車を走らせる。今日の参加者はみな、教習所で免許取得を目指す人達に運転技術を教える、いわば車の運転の「プロ」だ。「そんな教習所の先生たちに、あえて車ではめったに走らない、路地裏を走ってもらおう、というルートなんです!」と井上さんが走りながら教えてくれた。
さて時折みんなで声を掛け合ったり、先導の大澤さんから送られてくる手信号を、さらに後ろの人に送ったりしながら街を抜け、今度は坂を上がって桜川沿いの道をのんびりと走る。河川敷では何やら工事が行われている。これは「あと2週間後に迫った土浦の花火大会の桟敷席の準備なんだよ。花火大会の日はこの辺りは人手がたくさんですごいよー、歩けないくらいだよ!」と教習所の先生たちが走りながら教えてくれる。
そんな土浦ならではの珍しい風景が見れるのも面白い。そして桜川からの風は、とても気持ちよかった。
松本美枝子