一番の盛り上がりを見せたのは、芸者と簡単なゲームで遊んだり、お酒を楽しんだりするお座敷遊びの時間。今回は『金比羅船々(こんぴらふねふね)』というふたりでできる遊びを富久丸さんが提案した。富久丸さんが手に取ったのはお座敷にあった袴(はかま)というもの。ビールの水滴を受けたり、お燗の熱さをしのぐ器だ。「お座敷遊び」というだけあって、実際にお座敷にあるもので遊ぶ。
向かい合わせに座った二人が、歌に合わせて交互に袴の上に手を置く。片方が袴を持ち上げたときだけ、相手は手をグーにして置かなければならない、という簡単なルールだ。「一度やってみましょう」と促されるままにお客さんが富久丸さんと対戦すると、まあこれの盛り上がること! だんだんと早くなる歌のリズムに合わせながら、反射神経で袴を持ち上げたり置いたり、手をパーにしたりグーにしたり。見ているだけでもおもしろい。
最後は富久丸さんが三味線で伴奏をしながら歌をうたい、お客さん同士で戦った。負けた方は罰杯と呼ばれる罰ゲームとしてお酒を飲み、三味線に合わせてポーズを取らなければいけない。お客さんも富久丸さんも、そして私までずっと笑っていた。
「やっぱりお客様とコミュニケーションを取るのが好きなんです。お酒を注いで、注がれてっていう文化は西洋にはない、日本独特のものですよね。お酌をしながらお話をして、芸を見て楽しんでもらうということが、私自身も楽しいから続けていられるんだと思います」
芸者を呼ぶと聞くと、どうしても敷居が高いと思ってしまう。しかし実際、芸者2人を2時間呼ぶのにかかるお金はだいたい5万円程度。
20人集まる席に芸者を呼んだ場合、一人あたり2,500円でお座敷遊びが楽しめるのだから、そのハードルはそんなに高くない。富久丸さんは、横浜芸者としてこれからは料亭だけでなく、イベントや屋形船などでも芸を披露していきたいという。
「ただお酒を飲むだけではなくて、私達の芸を見ていただくことはもちろんのこと、お座敷遊びで楽しんでいただくこともできるので、ぜひ気軽に呼んでいただきたいですね」
ウィルソン麻菜