「蔵のある家は入り口が狭くて、奥行きが長い」
昔は「間口税」という税金の計算方法だったため、間口と呼ばれる玄関はなるべく狭くする節税設計だった、と遊覧船で教えてもらった。塚田歴史伝説館もその例で、一度中に入るとかなり奥の方まで8つの蔵が続いていた。多くのテレビドラマでも使われているというのも納得の豪華さだ。
塚田家はもともと江戸時代の後期から、木材回漕問屋を営み栄えた。その後、木材屋をやめて伝説館を始めたそうだ。6代目である塚田幸市さんに「ロボットだらけで驚きました」と伝えると、笑いながら教えてくれた。
「最初から、こんなふうにロボットだらけだったんじゃなくて、だんだんと増設していったんですよ。実は結構、ロボットのメンテナンスが大変なんですけどね」
蔵の修繕も毎年行っているそうで、この状態を保っていくのだけでも大変だという。ハイテクロボットを維持するのにも、歴史あるものを残していくのにもお金や手間がかかる。
その後、全自動ロボット人形劇を観覧させてもらった。これは巴波川にかかる「幸来橋」にまつわる悲しい伝説を、約15分ほどの人形劇にしたものだ。
そのこだわりは、想像以上! ある男女の悲しいストーリーがおもしろいのもあるが、全自動のロボットたちが生き生きとしていた。後半は、実際の水を使っていたり、語り手ロボットの動きも盛り上がりを見せ、最後まで目が話せなかった。
終演後、一緒に見ていたご夫婦と舞台付近までロボットを見に行き「すごかったですねえ」と言い合った。
江戸時代から続く歴史ある蔵のなかで、ハイテクロボットたちが歌ったり踊ったりする。そんなミスマッチな、どこか不思議な世界観を感じることができる場所だった。
ウィルソン麻菜