他のお客さんで賑わう遊覧船を眺めながら、川沿いをぶらぶら歩く。歩いていても、船頭唄がかすかに聞こえてくるのが、なんだか嬉しい。川のすぐ脇に建つ蔵は、「塚田歴史伝説館」として中が見学できるようになっていた。せっかくなら蔵の中を見てみたいと思っていたので中に入ろうとすると、看板の文言に目が止まる。
「ハイテクロボット蔵芝居」
まさかここ「蔵の街」でハイテクロボットという言葉を目にするとは思わなかった。興味が湧いて、さっそく中へ。
最初の部屋で早速、ハイテクロボットを見ることができた。三味線を弾きながら、この塚田歴史伝説館の説明をしてくれる語り部ロボットおばあちゃんだ。まばたきをしつつこちらを見てきたり、歌いながら目をそらしたりする。隣の猫もロボットで、おばあちゃんの歌に合わせて身体を揺すっている。
後半、先に部屋にいたもうひとりのお客さんにふと目をやって仰天した。彼もまた、人形だった。座敷に腰掛けたおじいさんを、私は完全に人だと思っていた。外を歩いている観光客も年配の方が多かったのもある。部屋に入ったとき、会釈までした自分を思い出して苦笑いした。そのくらい、リアルだった。
奥の蔵にはまだまだロボットたちがいるというので、ロボット2人を置いてひとつめの蔵を出た。
ウィルソン麻菜