茨城県水戸市
「流域外分水」とは、山などを越えた遠くの河川から人工的に水を引いてくる治水や利水のことだ。近代以前から各地で行われている流域外分水だが、現代の都市化や産業の発達により、より大規模なインフラ整備が各地で行われている。
国土交通省による「霞ヶ浦導水事業」は、水戸市の那珂川(なかがわ)とそこから遠く離れた霞ヶ浦、さらに利根川を一つにつなぐ全長約45.6キロメートルものトンネル工事だ。それぞれの河川の流況を改善することで、霞ヶ浦や桜川等の水質浄化、流水の正常な機能の維持と増進、水道及び工業用水の供給の確保を図ることが事業目的だが、その巨大設備に、いまインフラマニアからの熱い視線が集まっているという。現在も工事中の、知られざる大迫力の現場を見に行った。
最寄りのICから【E6】常磐自動車道「水戸北スマートIC」を下車
最寄りのICから【E6】常磐自動車道「水戸北スマートIC」を下車
霞ヶ浦導水事業は那珂川、霞ヶ浦、そして利根川を地下トンネルで結び相互に水をやりとりする、国土交通省関東地方整備局の事業だ。それぞれの河川に必要な水量を残した上で、余裕のある水を有効に活用し、河川の流況を改善することで、霞ヶ浦や桜川等の水質浄化、流水の正常な機能の維持と増進、水道及び工業用水の供給の確保を図ることが事業目的だ。
この地下トンネルは、約45.6キロメートルにも及ぶ巨大プロジェクト。1984年に着工し、2030年度の完成を目指して、今も工事が行われているという。
実は、今そこにインフラツーリズムの光が当てられ、密かなブームになりつつあると私に教えてくれたのは国土交通省のOBで、以前に取材(「~ダムの聖地・みなかみ~"やぎなら"ダム 大迫力の点検放流を見に行く!」参照)したダムカードの企画に関わった河川の専門家・三橋さゆりさんだ。また最近の三橋さんは、山などを越えた遠くの河川から人工的に水を引いてくる治水や利水、いわゆる「流域外分水」の面白さに着目し、そこにまつわる地形や施設を広く紹介していることでも知られている。
トンネルが通る各地には、那珂機場(なかきじょう)、桜機場など、さまざまな設備が点在している。そこには沈砂池や巨大ポンプ、さらに工事中の今しかみられない巨大な立坑(たてこう)や地下50メートルにあるトンネルなど、大迫力のインフラ設備と現場があり、申し込みすれば見学できるという。
これは行ってみるしかない! ということでさっそく三橋さんとともに現場へ向かった。国土交通省関東地方整備局霞ヶ浦導水工事事務所の元所長、田畑和寛さんも一緒だ!