北海道札幌市
札幌中心部にオープンした都市型水族館「AOAO SAPPORO(アオアオ サッポロ)」。そこはこれまでにない、ちょっと変わった水族館。手掛けたのは、元金融マンの館長だ。
最寄りのICから【E5A】札樽自動車道「札幌北IC」を下車
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毎日の生活のなかで、ふらっと立ち寄れる水族館が町なかにあるといいな。ありきたりじゃない展示が見たいな。水槽に囲まれながら仕事をしたり、おいしいご飯を食べたり、楽しくお酒を飲めたらいいな。
趣味「水族館巡り」の山内將生さんは、いつの頃からか、理想の水族館を思い描くようになった。それを本気で実現したのが、AOAO SAPPORO(アオアオ サッポロ)。2023年7月20日、北海道の札幌中心部にオープンした都市型水族館で、山内さんは館長を務める。
札幌市営地下鉄「大通駅」から徒歩3分、大勢の市民と観光客が訪れるアーケード街「狸小路商店街」の入口に位置する複合施設「moyuk SAPPORO」の4階から6階を占めるこの水族館は、これまでにない構成になっている。
4階に着いた来館者が最初に目にするのは、コンクリート打ちっぱなしのバックヤード。海から遠く、海水を運び込むことができないため、アオアオ サッポロでは魚類用とペンギン用、2種類の海水を水族館のなかで作っている。実際に稼働しているそのマシンが、置いてある。
さらに歩みを進めると、近未来感のあるラボがあり、制服を着た飼育員が照明に照らされた水槽のなかを泳ぐ魚にエサを与えていた。円形の水槽のなかでは淡いグリーンのスジアオノリがぐるぐる回転、別の水槽には、変わったフォルムの細長い魚「ヘコアユ」が上下に泳いでいる。
4階のコンセプトは、「CONNECT~人と水の世界がつながる」。ここでは、生物の健康管理をしている予備水槽や、飼育員がエサを調理する様子を見ることができるのだ。
「普通の水族館では足を踏み入れることができないけど、バックヤードでなにをしているのか、気になりますよね。そこでスタッフがいかに生物のケアに心を砕いて働いているかも、お客さんに見てもらいたかったんです。それが会話の糸口になるかなって」
AOAO SAPPOROのシャツを着てにこやかに語る山内さんは、かつて今の姿と似ても似つかない仕事をしていた。総合金融サービス業大手のオリックスで、金融マンとして最前線で働いていのだ。