未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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北海道札幌市

札幌中心部にオープンした都市型水族館「AOAO SAPPORO(アオアオ サッポロ)」。そこはこれまでにない、ちょっと変わった水族館。手掛けたのは、元金融マンの館長だ。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.239 |10 August 2023
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北海道札幌市

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#1館長は元金融マン

アオアオ サッポロのロゴ「AOAO」

毎日の生活のなかで、ふらっと立ち寄れる水族館が町なかにあるといいな。ありきたりじゃない展示が見たいな。水槽に囲まれながら仕事をしたり、おいしいご飯を食べたり、楽しくお酒を飲めたらいいな。

アオアオ サッポロ館長の山内將生さん

趣味「水族館巡り」の山内將生さんは、いつの頃からか、理想の水族館を思い描くようになった。それを本気で実現したのが、AOAO SAPPORO(アオアオ サッポロ)。2023年7月20日、北海道の札幌中心部にオープンした都市型水族館で、山内さんは館長を務める。

札幌市営地下鉄「大通駅」から徒歩3分、大勢の市民と観光客が訪れるアーケード街「狸小路商店街」の入口に位置する複合施設「moyuk SAPPORO」の4階から6階を占めるこの水族館は、これまでにない構成になっている。

4階では海水を作るマシンが稼働している

4階に着いた来館者が最初に目にするのは、コンクリート打ちっぱなしのバックヤード。海から遠く、海水を運び込むことができないため、アオアオ サッポロでは魚類用とペンギン用、2種類の海水を水族館のなかで作っている。実際に稼働しているそのマシンが、置いてある。

水槽の向こう側ではスタッフさんが仕事中

さらに歩みを進めると、近未来感のあるラボがあり、制服を着た飼育員が照明に照らされた水槽のなかを泳ぐ魚にエサを与えていた。円形の水槽のなかでは淡いグリーンのスジアオノリがぐるぐる回転、別の水槽には、変わったフォルムの細長い魚「ヘコアユ」が上下に泳いでいる。

ライトに照らされてグリーンが映えるスジアオノリ

4階のコンセプトは、「CONNECT~人と水の世界がつながる」。ここでは、生物の健康管理をしている予備水槽や、飼育員がエサを調理する様子を見ることができるのだ。

「普通の水族館では足を踏み入れることができないけど、バックヤードでなにをしているのか、気になりますよね。そこでスタッフがいかに生物のケアに心を砕いて働いているかも、お客さんに見てもらいたかったんです。それが会話の糸口になるかなって」

AOAO SAPPOROのシャツを着てにこやかに語る山内さんは、かつて今の姿と似ても似つかない仕事をしていた。総合金融サービス業大手のオリックスで、金融マンとして最前線で働いていのだ。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。