アオアオ サッポロの6階には、この水族館の目玉、ペンギンエリアがある。目の上にある「冠羽」が特徴のキタイワトビペンギンが大きなプール水槽で飼育されていて、水面にプカプカ浮いたり、伸びやかに泳いでいた。
キタイワトビペンギンはピョンピョンと飛び跳ねながら移動する習性があり、その自然な生態を活かすために陸地部分の六角形のブロックを組み合わせたデザインになっている。ちなみに、このブロックは数や組み合わせを変えられるようになっていて、形状を変えることでペンギンたちが飽きない環境を用意しているそうだ。
また、常に屋内にいることになるため、朝、昼、晩と照明の色味を変えている。照明で時間の変化を感じさせるのが狙いで、夜の時間帯に照明を落とすと、ペンギンは陸地で体を休めるそう。
この階にはほかに、世界最小のペンギン、「フェアリーペンギン」の展示室や、幅約20メートルの大型スクリーンに海の世界を投影する「ブルールーム」などもある。
山内さんの一押しスポット、パンとお酒を提供するパンバル「シロクマベーカリー&」があるのも、この階だ。札幌で人気のパン屋さん「シロクマベーカリー」とコラボしたパンバルの一番の魅力は、その立地。飲食スペースがペンギンやクラゲの水槽に囲まれていて、水槽を眺めながらオリジナルクロワッサンを食べたり、カフェをしたり、お酒を飲んだりできる。
「ほかの水族館はだいたい、展示から離れたところに飲食スペースあるんですけど、ここは水槽が見えることを前提に設計しました。水槽の前でコーヒーやビールが飲めるって、いいんじゃないですか。うちは22時までオープンしているので、特に夜の時間、ひとりで来た大人に濃密な時間を提供できたら成功だと思っています」
想像してみる。いい仕事ができた夏の夜、アオアオ サッポロに立ち寄る。4階と5階をゆっくり見て回った後、6階へ。涼し気にプールで泳ぐペンギンを眺めながら、ビールでのどを潤す――これは間違いなく、いい時間だろう。
いやいや、ちょっと待て。5階には水族館の入館料金だけで利用できるコワーキングスペースもある。仲間と昼間からここでガッツリ仕事をして、終業時間になったらつまみにチーズやソーセージを買い、ビールやカクテルで乾杯! もいい。
「理想としては、僕ら職員も館内で仕事をしたいなって思っています。だって、僕らもこの景色と空間を楽しみたいじゃないですか!」