日本に帰ってきた青山さんは、与論島や江ノ島でのアルバイト、アクセサリーづくりでの起業、航空機メーカーでの派遣社員を経て、地域起こし協力隊に応募した。
「大好きな海の近くで働きたい」と応募したのは、沖縄や静岡、高知など数カ所。なかでも一番早く決まった戸田に移住することを決めた。
「面接では深海魚グッズを作ってまちおこしをしたいと言った気がします。反応は良くなかったのですが、なぜか受かっていました」
とんとん拍子で話は進み、2018年4月に戸田に移住。赴任してすぐ、戸田漁港近くの日本一小さな深海魚展示室「ヘダトロール」の管理を命じられた。漁協の倉庫を改装してつくったばかりの室内には、空っぽの水槽が置いてあるだけだった。
「深海魚についてなにも知らなかったので、私はここでなにをすればいいの?という状態でした。役所の担当者が水槽の中に深海魚を入れてくれて、私はその深海魚の飼育を頼まれたのですが、うまく育たず死んでしまう魚もいて。原因がわからず困っていたら、漁師さんたちが噂を聞きつけて助けてくれたんです」
深海魚の育て方を教えてもらったり、土日返上で地域のイベントに参加したりしながら、漁師や住民との関係性を深めていった。青山さんが企画したイベント「深海魚フェスティバル」には、3000人以上が訪れたそうだ。
2年目には、宣言どおり深海魚のトートバッグを作ったり、自分が作ったアクセサリーをイベントで売ったりすることもできた。