未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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日本一深い海は宝の山だった 深海魚の「聖地」を巡る

文= 白石果林
写真= 白石果林
未知の細道 No.235 |12 June 2023
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#5モノづくりを夢見て戸田へ移住

日本に帰ってきた青山さんは、与論島や江ノ島でのアルバイト、アクセサリーづくりでの起業、航空機メーカーでの派遣社員を経て、地域起こし協力隊に応募した。

「大好きな海の近くで働きたい」と応募したのは、沖縄や静岡、高知など数カ所。なかでも一番早く決まった戸田に移住することを決めた。

「面接では深海魚グッズを作ってまちおこしをしたいと言った気がします。反応は良くなかったのですが、なぜか受かっていました」

戸田漁港直売所の隣にあるヘダトロール。

とんとん拍子で話は進み、2018年4月に戸田に移住。赴任してすぐ、戸田漁港近くの日本一小さな深海魚展示室「ヘダトロール」の管理を命じられた。漁協の倉庫を改装してつくったばかりの室内には、空っぽの水槽が置いてあるだけだった。

「深海魚についてなにも知らなかったので、私はここでなにをすればいいの?という状態でした。役所の担当者が水槽の中に深海魚を入れてくれて、私はその深海魚の飼育を頼まれたのですが、うまく育たず死んでしまう魚もいて。原因がわからず困っていたら、漁師さんたちが噂を聞きつけて助けてくれたんです」

深海魚の育て方を教えてもらったり、土日返上で地域のイベントに参加したりしながら、漁師や住民との関係性を深めていった。青山さんが企画したイベント「深海魚フェスティバル」には、3000人以上が訪れたそうだ。

2年目には、宣言どおり深海魚のトートバッグを作ったり、自分が作ったアクセサリーをイベントで売ったりすることもできた。

現在は、サメ皮を使った革小物を制作している。

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

深海魚の「聖地」を巡るツアー

最寄りのICから、【E1】東名高速道路「沼津IC」を下車
1日目
戸田のまちで深海魚の刺身やタカアシガニを堪能しよう。そのあと、漁港近くを散歩したり、ヘダトロールで深海魚を眺めたり、ゆったりと観光するのがおすすめ。ヘダトロールの隣には戸田漁協直売所も。
深海魚の聖地 HEDA-戸田! 戸田地区深海魚活用推進協議会 公式ホームページ
戸田漁業協同組合直売所(深海魚・鮮魚・高足ガニ・干物) 公式ページ
2日目
「駿河湾深海生物館」「戸田造船郷土資料博物館 」へ。深海魚の生態や戸田の歴史を学んだあとは、近くにある御浜海水浴場や御浜岬公園へ。
戸田造船郷土資料博物館・駿河湾深海生物館
御浜岬公園

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。