東京都 田端
東京の田端に、席数20席という小さな映画館がある。目が見えなくても、耳が聴こなくても、赤ちゃん連れでも、車椅子でも――、誰もが思い立ったら映画が見られますように。そんな願いをこめて作られた日本唯一のユニバーサルシアターである。この「夢の映画館」が生まれるまでの20年以上の挑戦を、シアターの代表の平塚千穂子さんに聞いた。
最寄りのICから【5】首都高速5号池袋線「北池袋IC」を下車
最寄りのICから【5】首都高速5号池袋線「北池袋IC」を下車
7月のある日、わたしの元に1通の葉書が届いた。
新作映画の試写会のお知らせだった。タイトルは『こころの通訳者たちWhat a Wonderful World』(監督:山田礼於 )、場所はシネマ・チュプキ・タバタとある。
すぐに「伺いたいです」とメールを送った。
シネマ・チュプキ・タバタは田端駅の近くにあるミニシアターである。
名前だけは何度も耳にしたことがあった。
通称、日本唯一の"ユニバーサル・シアター"。
目の見えない人、耳の聞こえない人、赤ちゃん連れの人。だれもが安心して一緒に映画を楽しむことができる場所だと聞いていた。
席数数は20席、念のため予約をした。
田端駅から5分ほどの商店街の一角に、映画館はあった。街並みにさりげなく溶け込んでいるので、ぼーっとしていると気がつかないかもしれない。前をランドセル姿の小学生たちが通りすぎていった。
こじんまりとした受付を通り抜け、赤と青のカラフルな座席に腰掛けると、ふっくらして心地よかった。肘掛けにはイヤホンが差し込める機械があった。これにより、全席で音声ガイドをリアルタイムで聞くことができる仕組みのようだ。映画館にこのような機械があるのを見たのは初めてだった。
イヤホンを耳に入れると、ちょうど映画が始まった。