未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
207

山形県最上郡

山形の山奥で、30年にわたりメープルシロップを作る人がいる。そんな面白い話を耳にして、最上郡へ。1年のある時期にだけ、甘い樹液を採取できる楓の木。その背後には山に生きる人々の物語があった。

文= Numa
写真= Numa
未知の細道 No.207 |11 April 2022
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
山形県最上郡

最寄りのICから【E13】東北中央自動車道「雄勝こまちIC」を下車

【E13】東北中央自動車道「雄勝こまちIC」までを検索

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#1絵画のような盆地へ。

山形新幹線の終着駅がある新庄から国道13号線を北へ向かうと、田園地帯の奥に連なる、分厚い雪化粧を施した奥羽山脈が見えた。晴れ渡った青空にうねりながら突き出す、白く輝く大地のしわ。自然の生み出す造形の、息を呑むほどの神々しさ。

やや険しい山道を抜け峠に出ると視界がパッと開け、実に絵画的な盆地が目に入った。緩やかに蛇行する川に沿って広がる雪に覆われた田畑、素朴な寺社と小さな集落。盆地のあちこちにハーシーのキスチョコレートような形をした小さな山がいくつも並んでいる。ニッポンの原風景を保存したような、チャーミングな山里。私は山形県の北に位置し、秋田県とも接する金山町にやって来た。

19世紀のイギリスの探検家であり旅行作家であるイザベラ・バードは、「日本奥地紀行」として発表された旅路で金山町に滞在している。1878年のこと。彼女もやはり、この印象的な盆地について「ピラミッド型の山の麓に抱かれた、ロマンチックな雰囲気の場所」と表現している。

国道13号線の上台(うわだい)峠から金山町の盆地を見渡すことができる。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。