未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
207

山形の最奥で「楓糖」を作る メープルサップに情熱を注ぐ樹液師のはなし

文= Numa
写真= Numa
未知の細道 No.207 |11 April 2022
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#2楓の樹液を採取する人。

宿場町として栄えた時代の建物や蔵が残る町の中心から、杉沢という最奥の集落へ。川沿いにいくつかの家が並ぶ集落の中で最も奥まった場所に、歴史を感じさせる見事な家屋があり、外壁に「暮らし考房」「ジャパンメープルワールド」という看板を掲げられていた。自動車1台が通れる程度の細い道は、この家のすぐ先で行き止まりになっていた。

屈強な山男とは真逆の、どちらかといえば小柄で温和そうな栗田和則さんが私を迎えてくれた。想像していたよりも年を召されていたが、山村で暮らすだけありとても健康そうに見える。

この地で生まれ育ったという栗田さんは、国内で数少ない、楓の樹液を採取する人。「メープルサップ」とも呼ばれる液体は天然の貴重な甘味であり、それを煮詰めて濃縮させたものが、私たちが知るところの「メープルシロップ」になる。

メープルプロダクト、イコール100%カナダ産という印象があまりにも強いためか、日本で製造者がいるという話を私は耳にしたことがなかった。そもそも、楓が生い茂る森林は国内にあるんだっけ? 試しにインターネットで「楓林(ふうりん)」と検索してみても、ヒットするのは全国各地の中華料理店ばかり。逆に言えば、そのくらい馴染みの薄い樹木ともいえるのだ。

栗田和則さんの自宅。先祖から引き継いだ築225年の母屋をはじめ、敷地内にはセルフビルドしたログハウスなども並ぶ。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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