持ち帰った夜、重石をするのにちょっと中を覗いてみると、昼間入れたばかりの漬け床がもう水っぽくとろとろになりはじめていた。発酵が進んでいるからなのか、かぶの水分なのか……、とにかく日々観察。
そんなときに限って(ではないけど)東京は本当に暖かいのだ。ダウンジャケットでちょうどよかった金沢とは違い、今年はどういうわけかまだ薄っぺらいコートで充分の暖かさ。毎日覗きたい気持ちを抑えて3日待ち、ちょっとひとつ切ってみた。
すると、かぶとブリと漬け床の味がバラバラで、ほんのりかぶに辛みを感じる。これはまだだなと思い、5日目に開けた。
できあがったかどうかという判断は、見た目にはなかなか難しいのだけれど、食べればわかる。かぶの芯まで漬け床がしっかりと染み込み、塩気のあるブリは生ハムのように透き通った味をしていて、何より食べたときに全部がまとまっている。漬け床のうまみも増している気がした。