未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
200

金沢で出会った、ハレの日の伝統発酵食 泉鏡花が芥川龍之介に贈ったお漬物「かぶらずし」を作りに

文= 吉川愛歩
写真= 吉川愛歩
未知の細道 No.200 |27 December 2021
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#4146年前からある四十萬谷さんにて

調べてみてわかったことだが、かぶらずしにはかぶらずし用に栽培された「百万石青首かぶ」というものまであった。肉質がやや堅めで甘みのある青かぶと、きめが細かい白かぶの交配種で、直径は10?12cmほど。東京のスーパーでよく見かける白かぶよりひとまわりは大きく、さながら大根といったところだ。

富山県や能登の方では白かぶでも作るそうだが、やっぱりこの百万石青首かぶの、肉厚ですっきりとした味がかぶらずしには大切、のような気がする。

そこで、かぶらずしといえばここ、という明治8年(1875年)創業の「四十萬谷本舗(しじまやほんぽ)」に伺って、かぶらずしの作り方を教えていただくことにした。

四十萬谷本舗は、金沢の四十万村(しじまむら)の農家にルーツがある。そこから泉野村付近に出てきて商売をはじめるときに、四十万屋と名乗ったのがはじまりだ。

もとは菜種油や醤油、味噌などを売っていたが、戦時中に食料を作れと命令が下り、漬物や発酵食品の製造に移り変わっていたという。ちなみに今でも本店は泉野にあり、創業時の建物のまま営業している。

時計も100年以上前から動いているものなのだそう。

朝から晴れたり雷が鳴ったりと忙しい天候のなか伺うと、六代目修行中で専務取締役の四十万谷正和さんが出迎えてくださった。

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