僕が忍者屋敷の存在を知ったのは、購読している新聞『日経マーケティングジャーナル』の記事がきっかけだった。ある日の記事に、僕の目はくぎ付けになった。
なんと、青森県弘前市にかつて忍者が拠点として使っていた屋敷が現存していて、紆余曲折を経て、現在の所有者、佐藤光麿さんが一般公開を始めたと書かれていたのだ。
忍者。僕が子どもの頃、憧れていた職業。きっかけは、恐らく漫画の『忍者ハットリくん』だと思う。竹筒を咥えて水中に身を潜める「水遁の術」を実践しようと、プールに潜ってストローで試したら、入ってくる空気の量が少なすぎて激しく咽たのは懐かしい思い出だ。
小・中学生時代にはまったゲーム『信長の野望』でも、代表的な伊賀忍者である服部半蔵が登場すると妙に嬉しくて(武力と智力の能力が高い)、いつも自分の家臣に加えていた。でも、忍者なんて漫画とゲームのなかの存在だったから、本物の忍者屋敷が残っているなんて想像したこともなかった。
リアル忍者屋敷、見てみたい!
僕は両手を組んで人差し指を立て、「にん、にん」と言いながら弘前へ向かった。