「はじめて会ったときに、自己紹介からはじまらないんです。『こんにちは』『どうも』ではなく、餃子部だったら『このくらいの大きさでいいんですかね』とか『そのカタチ、うまいですね』とか(笑)。話すキッカケが多いんですよね」
思えば、ぼくもそんなことを話していた気がする。人見知りのせいで、パーティーではいつも部屋の片隅でひとりぼっちなぼくなのに、BUKATSUDOでは自然と馴染めたことが不思議だった。
「ここに集まる人たちは、持っているエネルギーの温度が同じなのかもしれません。たとえ興味は違っても、そのこだわりかたに共感できちゃうみたいな」
川島さんによると、「レコード部」「餃子部」「SF部」「昭和文化研究部」「本屋研究室」「ものつく倶楽部」「手芸部」「デコパージュ部」「鍋部」「伝統芸能部」、それ以外にも多くの部活があるという。どれもユニークでおもしろいが、ともすればニッチと言わざるを得ない部活もある。立ち上げの際、部員が集まるかどうか、不安はなかったのだろうか。
「ニッチであるほど、同じ興味を持つ人が打ち解けるのも早いと思います。SF部では『予告編ナイト』として、50本ものSF映画の予告編を観ながら見所について議論していました。2、3人集まるだけでもマニアックな分だけ共感できることも多いみたいで、それはもうすごい盛り上がりでした。そんなふうに一度でも楽しめたら何度も参加してくれます。BUKATSUDO全体のホームページやフェイスブックページを見てくれている方はいるので、盛り上がった日のレポートを書いたり、写真をアップしたり、そんなことでもちゃんと続けていると、少しずつ部員は増えていくんです」
ライター 志賀章人(しがあきひと)