BUKATSUDOがオープンしたのは1年前。
新しくリノベーションされた館内は、木材や黒板を基調とした学校のような懐かしさと温もりがある。主張しすぎることのないインテリアは主役を人に譲ろうとしているし、壁の少ない空間は行き交う人たちとの出会いをさりげなく促している。
フロアマップを見てみると、ひときわ異彩を放つ「BUSHITSU」のほかに、ワークラウンジ(シェアオフィス)やイベントスペース、コーヒースタンド、ヨガスタジオ、DJブース、キッチンまで揃っている。この場所ひとつで何でもできそうだ。と、そこに。
「こんにちは!」
話しかけてくれたのは、BUKATSUDOの管理人でもある川島史さん。
餃子みたいなモチ肌のモチ主だ、と書いては失礼だろうか。実に、なんでも包み込んでくれそうな方なのだ。さっそく、BUKATSUDOとは何なのか、大人の部活とは何なのか、聞いてみました。
「遊びも学びも仕事もできるシェアスペース、と紹介しています。やりたいことがあっても何らかの理由でできない、でもエネルギーは持っている。そんな大人たちが『仲間』と出会うことで、趣味の集いや街を変えるような活動がはじまり、動きだす。それを『部活』と呼んでいます。『BUKATSUDO』のDOには『動』『道』『do』に加えて『堂(仲間が集う場所)』という意味もあるんですよ」
○○はルールなのでできません、みたいな場所にはしたくないんです、と話す川島さんはBUKATSUDOの管理人として、コミュニケーションをとりもつ役割もある。コーヒースタンドに飲み物を買いに来た人と話しながら、やりたいことを聞かせてもらったり、部活や人を紹介したりすることもあるという。
この日もBUKATSUDOのコーヒースタンドでは、小さな街の交差点のように人が行き交っている。ぼくもコーヒーを頼みつつ、通りかかった女性に「部活、やってるんですか?」と話しかけてみた。
「わたし、レコード部なんです」
レコード部? と疑問に思いながらも、入部したキッカケを聞いてみる。
「休みの日に散歩していたらBUKATSUDOの前を偶然通りかかったんです。ナニココ? と思って扉を開けてみたら、レコード部が活動していて。その場の勢いで参加させてもらったら、そのまま入部してしまいました」
月に2回ぐらいは来ている、と話してくれたこの女性は、「レコード部」のほかにも2つの部活に入っているという。医療関係の仕事をしていて病院の中にいる時間が長いからこそ、休みの日は外の世界に出たくなる。部活をはじめたことで生活のバランスが取れるようになったと教えてくれました。
続いて、別の方にもお話を聞いてみると。
「BUKATSUDOに来たキッカケは講座でした。『近い将来、鎌倉・逗子で 暮らしたい、働きたい学』という講座があって」
BUKATSUDOでは『これからの本屋講座』『趣味からはじまる雑貨店店主入門』『彦坂木版学校』など、ユニークな講座が開かれていて、講座を聞きに来たついでに施設をまわっていると部活に出会う。そんな人も少なくないようだ。
この方もレコード部に入っているらしく、どれくらいの頻度で参加しているのか聞いてみると、今日で2回目です、とゆるりと笑う。部員の数を聞いてみると、「どこまでが部員なのかわからなくて、わからない(笑)」と答えてくれました。このゆるさや曖昧さも参加しやすい理由のひとつなのかもしれません。
ライター 志賀章人(しがあきひと)