そのあとも彼女たちは、『アンパンマンのマーチ』を流したり絵本を音読したりして、亀麿を呼び出し続けた。合間にカメラを確認しては、「映らんなぁ」とぼやいてる。
誰かが「今から亀麿神社いかん?」と言い出した。「お姉さんも行きましょう!」と誘ってくれたので、ついていくことに。亀麿神社は、槐の間のすぐ隣にある。窓から亀麿神社をのぞくと、雪をかぶった鳥居がライトアップされていて、きれいだった。
一旦コートを取りに戻ってから、神社に近い出口に集合する。みんなで外に出て「寒いね~」と歩き始めると、その瞬間、あたりが真っ暗になった。
「うわぁ!びっくりした~」
「きっと22時になったんやわ」
タイマー式なのかぁと時計を見ると、まだ21時52分。「ずいぶん中途半端な時間に消えますね…」「不思議やなぁ…」などと話しながら、私たちは亀麿神社で手を合わせた。
真っ暗になったおかげで、夜空に浮かぶ無数の星がくっきりと浮かび上がった。Aさんたちが「きれいやなあ」と言いながら、星空の写真を撮っている。私は、撮影する彼女たちの姿を動画におさめた。
撮り終わった動画を見返していると、気になるものが写っていた。ホタルのような小さな光の玉が、彼女たちの腰あたりでウヨウヨと素早く動いているのだ。虫が映りこんだか? と思ったが、この寒さのなか虫がいるはずないか……と思い直す。念の為気温を確認すると、マイナス9度だった。
幼いときに座敷童子を見たことがある、と話していた友人にその動画を送ると、「これは……」と返信がきた。待てど暮らせど、その先は送られてこなかった。
未知の細道の旅に出かけよう!
大人たちが童心にかえる宿「緑風荘」を訪ねる