座敷わらしは、岩手県や青森県を中心に伝わる子どもの姿をした精霊的な存在で、住みついた家や目撃した人に幸運をもたらすといわれる。
私が取材する緑風荘が、「座敷わらしの宿」といわれるようになった歴史はこうだ。
南北朝時代(1300年代)、緑風荘当主の先祖である藤原朝臣藤房は、南朝の後醍醐天皇に仕えていたが、南北朝戦争で北朝側の足利に敗れる。そして落ち延びた先が、現在の岩手県二戸市だった。
旅の道中、6歳の息子・亀麿は病に倒れ、「末代まで家を守る」という言葉を残し息を引き取った。その後、亀麿は緑風荘の奥座敷に現れるようになったと伝えられている。
緑風荘にはこれまで、漫画家の故・水木しげるをはじめ、本田技研工業創業者の本田宗一郎氏、パナソニック創業者の松下幸之助氏、作家の金田一京助氏、原敬元首相など、多くの著名人が訪れたそうだ。
一時は予約が3年待ちだったこともあるという。口コミやSNSを見ると、「お腹に乗られた」「写真にオーブ(光の玉)が写った」など、たくさんの声が寄せられていた。
そういえば知人が、「座敷わらしは心のきれいな人にしか見えないらしい」と言っていた。「お腹に乗られたなんて、おいしすぎるだろう……!」と嫉妬している私のもとに、亀麿はやってきてくれるだろうか。
未知の細道の旅に出かけよう!
大人たちが童心にかえる宿「緑風荘」を訪ねる