さて、ガチで座敷童子との遭遇を目指すことになってしまった。ちなみに私はオカルト好きではあるけれど、ただの一度もオバケを見たことはない。不思議な経験をしたこともなければ、金縛りにあったことすらない。心霊体験談や、妖怪が生まれた背景やストーリーを純粋に楽しんでいただけなのだ。
どうにかしてヒントを得ようと、その日から友人知人に「オバケって見たことある?」と聞くようになった。不思議な体験談を持っている人は意外に多く、私が通っている美容院のアシスタント・Aくんもそのひとりだった。
彼のオカルト話に肝を冷やしたあと、「実はさ、座敷童子のいる宿に泊まることになったんだよね」と切り出してみた。
「え!おもしろそう!」と、ノリノリの反応を見せるAくん。「座敷童子に出てきてほしいんだよね。お菓子とかけん玉とか持っていこうかな」と続ける私に、彼はピシャリと言った。
「いや、けん玉はないっすよ。やっぱ今はSwitchじゃないっすか?」
美容院を出て、LINEの履歴をスクロールする。「毎晩のように『大乱闘スマッシュブラザーズ』に勤しんでいる」と話していた高校時代の友人に、「Switch貸して!」とLINEを送った。
こうして、いろいろな人たちの知恵を借りながら準備を進めていった。意外にもみんな、「何を言ってるんだコイツは」と冷笑することなく、亀麿と遭遇するためのあらゆる方法を提案してくれたのだった。
未知の細道の旅に出かけよう!
大人たちが童心にかえる宿「緑風荘」を訪ねる