未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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座敷わらしの「亀麿」がもたらす一期一会 大人たちが童心にかえる宿「緑風荘」を訪ねる

文= 白石果林
写真= 白石果林
未知の細道 No.275 |25 February 2025
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#12「これ、オーブですよ!」

翌朝、改めて手を合わせに行った亀麿神社

チェックアウトして、金田一温泉郷の街を歩く。民宿や旅館、日帰り温泉が楽しめる施設が数件あるほか、住宅も多かった。夏にはホタルが見られるスポットがあり、この日は雪で登れなかったが、展望台もある。

道中、このあたりに住んでいるという女性に出会った。「私が撮ってもオーブは写らないのよ。子どもが撮ると写るんだけど。写る人と写らない人がいるみたい」と話す女性に、「実は昨日、オーブらしきものが写ったんです」と切り出してみた。女性が「見せて~!」と言ってくれたので、動画を見てもらう。

「……これ、そうですよ、オーブですよ。きっといいことがありますよ!」

そう言って拍手をしてくれる女性に、思わず笑顔になってしまった。

金田一温泉駅には、にぎやかなアートが

帰りの新幹線でレコーダーの録音を確かめたが、確信めいたものはなにもなかった。しかし帰宅してからも、亀麿は私を笑顔にしてくれた。おもちゃや絵本のアイデアをくれた友人たちから、「亀麿のおかげ?」とメッセージが届くのだ。

「いつもはチップをくれないお客さんが、2ユーロ(300円)くれた!」

「ゴールキーパーの娘が、試合で大活躍して『神がかってる』と絶賛された!」

私もこれから、喜ばしいことが起きたときは亀麿のことを思い出すに違いない。それは「座敷童子は絶対にいる!」という信仰とはまた別で、私に協力してくれた大人たちが、揃いも揃って亀麿に目を輝かせる姿が、忘れがたいものになったということなのである。

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