部屋に戻り、枕元におもちゃやお菓子を並べ、目覚ましを翌朝の7時にかける。念のためレコーダーも回してから眠った。
パンッ チッ トントントントン パンパンッ
なにかの音で目が覚めた。外から? エアコンから? 目を閉じたまま、耳をすませて音の出所を探す。エアコンの音にしてはバリエーションが豊かだ。でもまあ、すぐ止むだろう。眠いから、もう少し寝かせてくれ……。
その音は5分ほど不規則に鳴り続けたあと、ピタッとやんだ。
私は朝が苦手で、目覚ましよりも早く起きることはほぼないのだけれど、時計を見るとまだ6時30分だった。目が覚めてしまったので布団から起き上がると、夫も起きてきた。「すごい音だったね」と言うと、夫はきょとんとして「なにが?」と言う。
「え、いまずっと鳴ってた音、聞こえなかったの?」
「まったく聞こえなかった」
信じられない。夫は敏感で、音や揺れなどの少しの刺激で目を覚ますのに。
「レコーダーを確認してみれば?」
「確かに!」とふたりで確認するが、なぜかなにも入っていなかった。
雪や寒さで、建物が鳴いていたのかもしれないし、隣の人が激しめの運動をしていたのかもしれない。聞こえたことは確かだが、音の正体はわからない。
緑風荘で過ごしていると、聞こえてくる音、光や影の動きに敏感になって、五感がとぎすまされていくようだ。
未知の細道の旅に出かけよう!
大人たちが童心にかえる宿「緑風荘」を訪ねる