未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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座敷わらしの「亀麿」がもたらす一期一会 大人たちが童心にかえる宿「緑風荘」を訪ねる

文= 白石果林
写真= 白石果林
未知の細道 No.275 |25 February 2025
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#5突如はじまる小さな演奏会

槐の間には、宿泊客からのお供え物があった(お供え物は各自持ち帰るルールがある)。

料理教室で出会ったという3人は、大阪から「亀ちゃんに会いにやってきた」という。なんと3人のうちふたりは、霊感があるそうだ。

Aさん「ここに泊まった友だちはね、『オーブ(光の玉)がついてきた』って言ってた」

私「ついてきたってどういうことですか?」

Aさん「自宅に帰ってからも、自撮りするとオーブが写るようになったんやって」

私「え!亀麿は家までついてきてくれるんですね」

Aさん「楽しかったらついてくるんかもねぇ。その友人はそのあとオーストラリアに移住して、今はマッチングアプリでできた彼氏と一緒に住んでるんですよ~」

Bさん「私の知り合いにもいたなぁ。緑風荘から帰って、たしか1カ月以内の話やったと思う。その人が三輪山にのぼったとき、すれ違った行者(仏道の修行をする人)に『あなた座敷童子がついてますね』って言われたらしい」

でるわでるわ。夢中になって彼女たちの話を聞いていたら、「霊感はまったくない」というCさんが、私におもちゃのピアノを渡しながらこう言った。

Cさん「とりあえず仕事は忘れて一緒に楽しみましょうよ!そのほうが、亀麿も出てきてくれるはずや」

Aさんはラッパ、Bさんはマラカス、Cさんはギター、私がピアノを持って輪になる。「せーの!」の合図で小さな演奏会が始まった。でたらめな音楽に乗せて、誰かが「亀、出ておいで~」と呼びかける。

私がかき鳴らした、控えめな音のピアノ(槐の間で大声で騒いだりすることは禁止されている)

楽しそうな彼女たちを横目に私は、「こんなところで、目標を達成するとは……」と感慨に浸っていた。実は2025年の目標のひとつに、「バンドを結成する」があったのだ。新年も早々に、妙な形で叶ってしまった。

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

大人たちが童心にかえる宿「緑風荘」を訪ねる

最寄りのICから【E4A】八戸自動車道「浄法寺IC」を下車
1日目
緑風荘にチェックインしたら、槐の間へ。亀麿にお供えをするもよし、宿泊客と亀麿の話題で盛り上がるもよし。夜はあたたかい露天風呂でリフレッシュ。
緑風荘
2日目
午前中に亀麿神社へ。金田一温泉の宿泊客は、緑風荘の受付でご朱印を買うこともできる(要前日予約)。チェックアウト後は、近隣のカフェでランチをして、周辺を散策しよう。「三浦哲郎ゆかりの家」や「分教場講堂」がある。
三浦哲郎ゆかりの家
分教場講堂

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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