「緑風荘」がある岩手県二戸市は、青森との県境に位置する。
盛岡駅からIGRいわて銀河鉄道に乗り換え、電車に揺られること1時間半。宿の最寄りである金田一温泉駅についたのは、20時半過ぎだった。
約400年前に発見された金田一温泉。このあたりは江戸時代、南部藩の湯治場だったそうだ。ちなみに地名である「金田一」の由来は、南部氏の祖先の名や、「山の方にある川の所」を意味するアイヌ語など、諸説ある。
駅を出ると雪が降り積もり、街は見渡す限り真っ白だった。人も車もまったくおらず、不安になるほどシンとしている。私はタクシーを呼び、目的地に向かった。
まっくらな道を走ること10分。ポツンと青く浮かび上がる光が見えた。緑風荘だ。
宿泊の手続きを済ませ、部屋に案内してもらう。木材を基調とした館内は明るく、天井が高くて開放感もある。想像していたおどろおどろしさは、まったくなかった。
部屋に向かう途中、亀麿がよく出るとされる「槐(えんじゅ)の間」があった。ここは宿泊用ではなく24時間出入り自由の場所らしいが、私が通りかかったときは誰もいなかった。
部屋でしばし休憩してから、21時過ぎに槐の間へ向かう。廊下を歩いていると、何やら賑やかな声が聞こえてきた。
チラリとのぞいてみたら、ギラギラに装飾された小さなとんがり帽子を頭につけた女性3人組が、紙風船で遊んでいる。そしてその様子を、各々のスマホやiPadで撮影していた。
「こんばんは~」と挨拶をして、「もしかして、亀麿を呼び出してるんですか?」と聞いてみた。するとこんな返事が。
「そうです~!よかったら一緒にどうですか?」
未知の細道の旅に出かけよう!
大人たちが童心にかえる宿「緑風荘」を訪ねる