未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
260

山梨県南都留郡

女性ひとり、自分の仕事をつくっていくストーリーにずっと惹かれてきた。その舞台は、ニューヨークでも、ご近所でもわくわくするのに変わりはない。人口1500人の山梨県道志村に、数年前、女性店主が営む一軒の本屋が誕生した。

文= 小野民
写真= 小野民
未知の細道 No.260 |10 July 2024
  • 名人
  • 伝説
  • 挑戦者
  • 穴場
山梨県南都留郡

最寄りのICから【E68】中央自動車道「都留IC」を下車

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#1山道をくねくね抜けて目指す、山小屋の書店

山梨県に住む我が家から高速道路を使って1時間ほどの道志村にある本屋「もくめ書店」を知ったのは、2022年。開店を知らせる記事が新聞の地方版に掲載されていて、たしか店主へのインタビューも読めたと思う。店主の名は酒井七海さんといって、メディアプラットホーム「note」で、開業までの道のりを綴っていた。

もともと都内に住み書店で働いていて子育て中なこと、道志村に義母が住んでいたこと。物件取得から本屋をつくり上げる苦労や、補助金の話といったリアルな奮闘記にぐんぐん引き込まれた。なにより、自然の近くに住みたい、本屋になりたいという「夢」に向かっていく姿勢がまぶしくもあり、共感もした。

いつか行ってみたい。そう思いながら時が過ぎて2024年の今。「開店から2年経ったお店を取材したい」と連絡してみると、快諾とともに丁寧なメールの返信があった。

当日、道志村に行くには何通りか行き方があるみたいだったけれど、都留インターで高速を降りて30分くらい一般道を行く道を何気なく選んだら……ものすごくくねくねする山道! 遠目の地図を見ていたときには気づかなかったけれど、アップになったナビの画面を見ると永遠にくねくねした道が続いているようで不安になる。実際は10分くらいの険しい道だっただろうか、たまに「ひ〜」と一人ごちながら、なんとか開けた場所に出た。

さらに進んで目的の「もくめ書店」に到着。木立のなかに静かに佇む山小屋がある場所は、想像以上に人里から離れていた。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。