福島県南相馬市
1000年以上の歴史があると言われる「相馬野馬追」。開催地である南相馬市では、代々、馬と暮らす人が多く「馬のまち」といわれている。しかし、馬が日常的に農耕に活躍していた時代に比べれば、馬と人との距離は遠ざかりつつあるのが実状だ。そんななか、この土地で馬と一緒に起業し、一般社団法人 Horse Valueという団体を立ち上げた若者がいる。彼らが提供するサービス「海トレッキング」を体験した後、代表の神瑛一郎さんにお話を聞いた。
最寄りのICから【E6】常磐自動車道「南相馬IC」を下車
最寄りのICから【E6】常磐自動車道「南相馬IC」を下車
私の辞書には「暇」という文字はない、と子どもの頃から思っていた。その理由のひとつは、空想に浸るのが大好きで、いろいろな設定で頭のなかで遊んでいれば時間など一瞬で過ぎ去っていくからだった。
私の空想の設定のなかでもお気に入りは、馬に乗って通学するというもの。家から小学校までは4キロの道のりで、里山や雑木林の景色を見て歩きながら、2つの山を越えてまた山を登る必要があった。普段はバスなども使っていたが、一斉下校のときには、1時間半のちょっとした冒険。その道を、馬で通学したら楽しいだろうなあと思いついてからは、パッカパッカと馬に乗って進む自分を何度思い浮かべたことだろう。
でも、日常生活のなか公道で馬に乗るなんて、竹コプターで飛ぶくらい現実とはかけ離れている気がしていた。そう、偶然「小高うまさんぽ」の案内を見るまでは。
小高うまさんぽが開催されているのは、もともと相馬野馬追という祭りで知られる南相馬市。相馬野馬追は、千年以上の歴史があるともいわれていて、祭りの3日間には、騎馬武者の行列や甲冑競馬など、さまざまな人馬一体の催しが行われる。そんな馬が身近なまち、南相馬市の小高区で乗馬して街中を散歩できるプログラムが「小高うまさんぽ」だ。運営する株式会社Horse Valueでは、ほかにも馬に関わる事業を多数展開していて、なかには海辺の乗馬体験もあるという。
それ、やってみたい! いつの日にかと思いつつ、2年経ってやっとタイミングが巡ってきた。