未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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南相馬市はもっと"馬のまち"になっていく 馬と一緒の海岸散歩から広がる未来

文= 小野民
写真= 鈴木宇宙
未知の細道 No.259 |25 June 2024
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#5馬への愛を携えて起業するなら「馬のまち」

お話を聞かせてくれた神 瑛一郎 さん

ちょうど野馬追が近づいていた時期なこともあって、私たちが訪ねる直前には、南相馬市長の乗馬レッスンをしていたところだそう。余談だが、南相馬市長は必ず馬に乗れなくてはいけないらしい。さすが馬のまちだ。

でも、「馬の社会的価値を高める」という目標を掲げて起業した神さんの考える「馬のまち」のポテンシャルは、まだまだこんなものじゃない。

「今、野馬追に出ているのは、南相馬市の人口の100人にひとりくらい。せめて日常的に馬に触れ合っている人が人口の半分くらいの割合になったらいいですね」と、よく通る声で揺るぎなく話す。

神さんの出身は東京都で、南相馬市に移住を決めたのは、馬にまつわる仕事をするチャンスがそこにあったから。ホースバリューの仕事も唯一無二だけれど、神さんがここに辿り着くまでの道のりも、聞けばなかなかユニークだ。

幼い頃から乗馬一筋と思いきや、最初に触れたスポーツは相撲。大の相撲ファンの祖父に誘われるままやっていたが、次第に体格差がものをいうようになって勝てなくなってきて、「次は服を着るスポーツをしたい」と思っていたときに出会ったのが、乗馬だった。

「乗馬体験のポスターを見て、完全に格好から入ったかたちでした。そして、やってみたら自分には乗馬のセンスがあると思えて、すごく楽しかった。自己肯定感が上がっていく感じもあったんですよ。それに、馬が自分のためにがんばってくれる。乗り終わったら手入れしていると、かわいいなあって」(神さん)

移転前、間借りしていた厩舎でのんびり過ごす馬たち

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

南相馬で馬を堪能する1日

最寄りのICから【E6】常磐自動車道「南相馬IC」を下車
午前中に、ホースバリューの「小高うまさんぽ」または「海トレッキング」を体験。ホースバリューの新拠点は、見学自由。

その後静かに過ごすなら「南相馬市博物館」なら、野馬追関連の展示も充実しています。

子どもと遊ぶなら、ホースバリューの拠点がある小高区内にある、屋内遊び場「NIKOパーク」がおすすめ。小高区にはほかに258で紹介された「おれたちの伝承館」や、作家の柳美里さんが店長を務める本屋「フルハウス」も。フルハウスでは、本に囲まれながらランチも食べられる。
Horse Value
南相馬市博物館

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。