土曜の7時過ぎ、小さなパブ「竹の湯別館」は10数名も入れば、もう満員だ。この日も、誰かが店を出ても、すぐにまた新しいお客さんがふらりと入り、ずっと満員状態が続いていた。大きなガラス戸の向こうから眺めていると、子どもを連れたお父さん、お母さんが店先の常連さんたちに声をかけていくときもある。地域の人たちからもこの店が愛されているのがよくわかるのだが、実はまだ開店してから1年も経ってない、というのだから驚いてしまう。
お客さんたちに、この店のどんなところが好きで通っているのか、聞いてみると、おしゃれな二人組の女性がもちろん! と言った感じで、「実里さん!」と即答した。聞けばこの二人は、この店で知り合った友達なのだという。それぞれは一人で来る客が多くて、この店独特のコの字型カウンターで、橘さんを中心にぐるりと集う他のお客さんたちと喋るうちに、やがてみんな友達になっていくそうだ。「コの字カウンターは絶対にやりたいと思っていたので」と橘さんも続けていう。
またこの店はスポーツの「クラブ活動」が多いのも特徴的だ。まず橘さんがとてもアクティブであり、この日もハーフパンツ姿で「店を開ける前までクライミングをやってきた」とのこと。
クラブ活動のなかでも、以前からよくやっているのはランニングイベント。お客さんが集まり、みんなで走った後に、また改めて「竹の湯別館」に飲みにきてくれるのだという。
加えて最近は「『モルック』という北欧発祥のスポーツ(モルックと呼ばれる木の棒を投げ、ピンを倒して得点を競うスポーツ)を、みんなでやってるんですよ!」とお酒を飲みながら女性客たちがいう。反対側の席ではこの「モルッククラブ」の「監督」と呼ばれている男性が、これまた楽しそうにお酒を飲んでいた。