未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
238

富山県下新川郡

新潟県に近い北アルプス・朝日岳のふもと。小さな里山でなぜ、後発酵茶を嗜む希少な文化が育まれたのか?

文= Numa
写真= Numa
未知の細道 No.238 |25 July 2023
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富山県下新川郡

最寄りのICから【E8】北陸自動車道「朝日IC」を下車

【E8】北陸自動車道「朝日IC」までを検索

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#1茶をめぐる多様な文化。

茶はツバキ科の常緑植物「茶の木(チャノキ)」の葉を加工したもの。緑茶、紅茶、烏龍茶、プーアル茶などはすべて同じ茶の木から作られる。

ここ日本で「茶」といえば、何よりもまず「緑茶」を想像する人がほとんどだろう。茶を飲む習慣は、すでに中世には精神性を重んじて客人に茶を振る舞う「茶道」へと昇華され、今日まで廃れることなく受け継がれてきた。喫食文化が多様になった現代とはいえ、ペットボトルや紙パックの緑茶飲料を含めれば、「年代を問わず9割近い人が緑茶を日常的に飲んでいる」ことが明らかになっている(緑茶の引用に関する意識・意向調査/令和3年・農林水産省)。

当然ながら、茶を嗜む文化は全国津々浦々へ広まった。土地の風土が重なることで、ユニークな形となって定着した例も数知れない。数種類のお茶を飲み比べ、産地や銘柄を当てるという「闘茶」が、歌舞伎役者等によって「歌舞伎茶」として愛でられてきたことや、関西地方で正月や節分に飲まれる、茶に黒豆、昆布、梅干、山椒などの具を入れてた「福茶」。もしくは、茶道の作法を真似して楽しんだと言われる「振り茶」などが挙げられる。

振り茶は、固くなった新芽や収穫時期の遅れた茶葉から作られた「番茶」を茶筅(ちゃせん)で泡立てる、庶民的な茶の湯と言える。古来より各地で嗜まれたようだが、現在は国内のいくつかの土地にのみ残る珍しい風習になった。それらには「ぶくぶく茶」「ぼてぼて茶」「バタバタ茶」といった、どれも楽しげな名前が付けられている。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。