未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
238

黒茶を嗜む富山の茶会 室町時代より受け継がれた「バタバタ茶」

文= Numa
写真= Numa
未知の細道 No.225 |25 July 2023
この記事をはじめから読む

#2黒茶を用いた「バタバタ茶」。

真夏に約1ヶ月発酵させて作られるバタバタ茶。国内では他に高知の碁石茶、愛媛の石鎚黒茶、徳島の阿波晩茶といった後発酵茶がある。

そしてなぜ私がバタバタ茶にそそられたのかといえば、番茶をベースにしたぼてぼて茶や炒り茶であるぶくぶく茶と違い、「黒茶」と呼ばれる後発酵茶を飲用しているからだ。発酵させない日本の緑茶は「不発酵茶」に分類され、酸化による発酵が進むにつれ烏龍茶や紅茶といった「半発酵茶」「発酵茶」へと変化する。対して黒茶は酸化以外の発酵作用による「後発酵茶」に分類され、その代表格は中国の「プーアル茶」である。そもそも日本で発酵茶が作られることは非常に珍しく、黒茶の産地は4ヶ所のみ。富山を除くと愛媛、高知、徳島と四国に集中している。亜熱帯植物である茶の木は四国のような温暖な地で育てることが理に適っており、茶の栽培地の北限に近く、むしろ、はと麦茶の原料となるハトムギの全国一の産地である富山で、なぜ黒茶が嗜まれてきたのか。それも6世紀に渡って飲まれてきたと知り、さらに謎は深まった。そこで私は富山へ足を運ぶことにした。

このエントリーをはてなブックマークに追加

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。