未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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日本一深い海は宝の山だった 深海魚の「聖地」を巡る

文= 白石果林
写真= 白石果林
未知の細道 No.235 |12 June 2023
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#2100件超の注文が入るサービス「深海魚直送便」

道の駅「くるら戸田」は観光客だけではなく、地元住民も集う。

翌日、私は道の駅「くるら戸田」に向かった。戸田漁港から住宅街を抜け、車を10分ほど走らせる。

売店のほか足湯や温泉、深海ギャラリーなどが併設された同施設。観光客向けと思いきや、地元住民が集うコミュニティスペースや会議室もあり、楽しげな声が聞こえてくる。

青山沙織さん。

ここで出迎えてくれたのは、しずおかの海PR大使の青山沙織さんだ。

2018年、地域おこし協力隊として兵庫県から戸田に移住した青山さん。水揚げされた食用の深海魚を自身で買い取り、当日中に一般家庭に直送する人気サービス「深海魚直送便」の生みの親だ。このサービスは、コロナ禍の漁業衰退を目の当たりにした青山さんのひらめきからスタートした。

「コロナ禍で飲食店が営業できなくなり、深海魚の卸し先がない漁師さんたちの苦しみを見ていました。高値で売れていた深海魚も二束三文にしかならなかった。町がどんどん活気を失っていきました」

自分になにかできることはないか。頭を悩ませた青山さんは「深海魚を買い取って一般家庭に直送すれば、漁師さんたちの収入になる」と思いついた。あるようでなかったサービスは瞬く間に注目を集め、多い時で1日に100件超の注文が入ったそうだ。

移住してくる前は、兵庫県にある航空機メーカーで働いていた青山さん。なぜ縁もゆかりもない土地で、深海魚に関わるようになったのだろうか?

未知の細道のに出かけよう!

こんな旅プランはいかが?

深海魚の「聖地」を巡るツアー

最寄りのICから、【E1】東名高速道路「沼津IC」を下車
1日目
戸田のまちで深海魚の刺身やタカアシガニを堪能しよう。そのあと、漁港近くを散歩したり、ヘダトロールで深海魚を眺めたり、ゆったりと観光するのがおすすめ。ヘダトロールの隣には戸田漁協直売所も。
深海魚の聖地 HEDA-戸田! 戸田地区深海魚活用推進協議会 公式ホームページ
戸田漁業協同組合直売所(深海魚・鮮魚・高足ガニ・干物) 公式ページ
2日目
「駿河湾深海生物館」「戸田造船郷土資料博物館 」へ。深海魚の生態や戸田の歴史を学んだあとは、近くにある御浜海水浴場や御浜岬公園へ。
戸田造船郷土資料博物館・駿河湾深海生物館
御浜岬公園

※本プランは当サイトが運営するプランではありません。実際のお出かけの際には各訪問先にお問い合わせの上お出かけください。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。