青森県八戸市
青森県八戸市に、「黄金の馬」と称されるアハルテケの牧場がある。世界に約3000頭しかいない希少種が、なぜ八戸に?
最寄りのICから【E45】八戸久慈自動車道「種差海岸階上岳IC 」を下車
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「ここの景色と広さに惹かれて、この牧場に決めたんです。アハルテケを放すと、ダーッと走り回るんですよ。ここは傾斜しているから馬の足腰にもいい。本当に理想的なところだと思います」
青森県八戸市にあるアハルテケ長谷川牧場のオーナー、長谷川百合子さんはそう言うと嬉しそうに目を細めた。長谷川さんはこの牧場で、世界におよそ3000頭しか存在しないアハルテケという稀少種の馬12頭と暮らす。
中央アジアに位置するトルクメニスタンの原産で、現存する最古の馬の種と言われるアハルテケ。シルクのように艶やかで光り輝くような毛並みが特徴で、「黄金の馬」とも称される。身体能力も高く、抜群のスピードと持久力を併せ持つ。歴史上の名馬、アレキサンダー大王が乗った「ブケファロス」や三国志に登場する「赤兎馬」もアハルテケだったと推測されている。
今現在、日本でアハルテケを飼育、繁殖している唯一の牧場は、とんでもなく気持ちのいい場所だった。どこからどこまでが敷地なのか一目で見渡せないほど広大な牧場は、一面グリーンの芝で覆われている。その先に広がるのは太平洋の青い海。自分が日本にいることを忘れるような風景で、ここに住む馬たちは幸せだなと思う。
この場所はもともとサラブレッドを繁殖する牧場として60年ほど前に開かれ、1990年代に廃業した後、そのまま取り残されていた。草木が生い茂り、荒れ地になっていたその牧場跡を長谷川さんが整備したという。
東京出身で青森にも八戸にも縁もゆかりもなかった長谷川さんはなぜ、この場所でアハルテケとともに生きることになったのだろうか? そこには人と馬の運命的な出会いがあった。