未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
224

光り輝くアハルテケの牧場を訪ねて 黄金の馬とともに生きる。

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.224 |26 December 2022
この記事をはじめから読む

#4アハルテケの繁殖に挑んだ理由

見知らぬ人間に興味津々の馬たち。

ここからが大変だった。馬を輸入するには厳しい検疫を受けなくてはいけない。その段階で引っかかり、シュメールは日本に渡って来れなくなった。そこでやむなく別の馬を選ぶことになるのだが、その過程で「衛生管理が行き届いた日本でアハルテケを繁殖したらどうか?」という話が持ち上がった。

先述したように、アハルテケは世界に約3000頭しかいない希少種で、アハルテケの血統を管理する団体を中心に、ほかの品種との交配を避けながら純血種を増やす取り組みが行われている。アハルテケに惚れ込んだ長谷川さんは快諾し、日本での繁殖に挑むことを決めた。

アハルテケはサラブレッドと同じく血統で評価が決まり、高い馬は1億円に達することもある。それほどの価格ではなくても、繁殖して信頼できるところに売るという循環を確立できれば、牧場として持続可能だと考えた。

繁殖するとなると、少なくとも5頭は必要になる。長谷川さんはロシアやヨーロッパで購入可能な純血種を探し回ったが、そもそも3000頭しかいないアハルテケを売ってくれる牧場がなかなかない。ようやく見つかっても、血縁が近い馬は避けなければいけない。数々のハードルを乗り越えて日本に輸入する5頭を決めるまでに、1年以上かかったという。

このエントリーをはてなブックマークに追加

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。