お店をオープンすると、すぐに地元の住民で賑わうようになった。ジェラートの製造と接客に追われながら、2017年以降もシチリアのジェラートイベント「SherbethFestival」に参加を続けた。そして3回目となる2018年、53人中トップ10に入る評価を得て日本人で唯一入賞し、オリジナリティ特別賞も受賞した。
受賞したのは、日本のお豆腐屋さんから仕入れた絞りたての豆乳とイタリア人が受け入れやすいピスタチオを使用した「豆腐とピスタチオのジェラート」。日本の和の要素を絡めたことが、オリジナリティの評価につながった。
受賞の翌年もイベントに参加したのだが、2020年以降は新型コロナウイルスのパンデミックの影響で開催されていない。再開されたらまた参加したいですか? と尋ねると、磯部さんはニコリとほほ笑んだ。
「そうですねえ、行きたいです。進化している自分を見てもらいたいですね。ジェラートってどんな素材でもジェラートにしようと思ったらできるんですよ。それが魅力だし、可能性は無限大なので、イタリア人をビックリさせるようなジェラートを作りたいですね」
つい最近、クアットロパンキーネに研修に来ていた徳島県の人から「特産品のワカメを使ったジェラートを作りたい」とリクエストされたそうだ。磯部さんにとっても未知の食材だったが、なんとか形にしてレシピを渡した。その人がジェラート屋さんを始めてワカメのジェラートを売り始めたところ好評を得ていると報告があり、磯部さんは改めてジェラートの懐の広さを感じたという。