未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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イタリア人に認められたジェラティエーレの軌跡 ビオジェラートの甘い誘惑

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.217 |12 September 2022
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#4イタリア最大のジェラートイベントに参加

ジェラートへの探究心は留まることを知らず、2016年には休暇を取って、ひとりでイタリアに向かった。会社の研修は訪問先が決まっていて、行きたいところに行けない。この時は、自分が会いたい人にアポを取って話を聞き、気になっていたお店を訪ねて食べたいものを食べた。研修の時と比べて、得られる情報量が桁違いだった。

イタリア最大のジェラートイベント「SherbethFestival」のパンフレットに掲載されていた当日の様子。

現地滞在中に、シチリア島で行われるイタリア最大のジェラートイベント「SherbethFestival」に単身で参加した。4日間続くこのイベントでは、イタリア人を中心にジェラティエーレが50人ほど集い、一本の通りに自分のブースを出して、ジェラートを振る舞う。イタリア人は夜にジェラートを食べるので、スタートは17時。それから深夜1時、2時まで通りは人で賑わう。まさに、イタリア人の生活に密着したジェラート文化を体感できるイベントだ。

この年、日本人のジェラティエーレは磯部さんのほかにひとりだけで、あとはほぼイタリア人。食べ歩きをするお客さんも、イタリア人ばかり。この環境で自分のジェラートを売るのは勇気がいったが、この時、イタリア人の懐の深さに触れる。

「日本で開催されるお寿司の大会にイタリア人の職人がいても、あまり食べてもらえないと思うんですよ。でもイタリアでは、僕が作ったジェラートを食べに来てくれる人がたくさんいて、『すごくおいしい』と言ってくれました。会場の外を歩いている時も、イタリア人がわざわざ『すごくおいしかった』と伝えに来てくれて。自分が受け入れられたと感じて、本当に嬉しかったですね」

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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