仕事に戻る石川さんと別れた僕は、スノーモービルに乗ってみることにした。
1周1キロのコースを2周で、2000円。初めてだったけど、操作はそれほど難しくない。スピードも想像以上に速くて、爽快! でも、その日は何度も書くけどマイナス11度。風速1メートルで体感気温は1度下がると言われているから、時速10キロでマイナス21度。当然のように露出している顔面がヒリヒリし始めて、2週目のラストは痛かった。
すっかり身体が冷えた僕は、時計を見た。帰りのバスまで、まだ十分に時間がある。逃げ込むように駆け込んだのは、氷上露天風呂。2度目は先客がいなかったから、人生最速のスピードで服を脱ぎ捨て、お湯に滑り込んだ。ひとりでのんびり温泉に浸かっていたら、身体がじんわりほぐれてくるのがわかった。そして、片道7時間かけてきたかいがあったと思った。
温泉から上がった僕が最後に立ち寄ったのは、アイスバー。スタッフさんに「また来ちゃいました!」と挨拶すると、素敵な笑顔で迎えてくれた。一杯ひっかけてからネイチャーセンターに戻り、石川さんに「また温泉に入って、アイスバーに寄ってきました」と報告すると、「それはずいぶん満喫しましたね」と苦笑していた。
月曜日だったこともあり、帰りのバスの乗客は僕ひとり。車窓を流れる雪景色をぼんやりと眺めながら、然別湖コタンで経験したことがほとんど「人生初」だったことに気が付いた。でも、心残りがひとつ。「次回は絶対にイグルーに泊まるぞ」という決意がメラメラと燃えあがった。