未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
205

凍結した湖上で飲み、浸かり、遊ぶ 雪と氷の銀世界「然別湖コタン」

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.205 |10 March 2022
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#4手つかずの絶景をパノラマで

雪と氷で作られた案内板

次に向かったのは日本で唯一、凍結した湖上に設置された氷上露天風呂! ここの大きな特徴をひとつ挙げよう。それは、湯船ひとつの混浴ということ。しかも、水着の着用は義務付けられていない。どういう選択をするのかは、あなた次第。いやいや、さすがにみんな水着でしょう、という考えで入ったら、水着を着てない人がいた! ということもあり得るので、心の準備だけは忘れずに。

僕が入浴しようとした時にはカップルが入っていたから、先に声をかけて撮影させてもらった後、「僕もおじゃましていいですか?」と声をかけた。女性のほうから「いいですよ~」と返事があったから、少しホッとした。ちなみに、コロナ前は特に人数制限はなかったそうだけど、今は最大5人までに定められている。

千葉から来たというカップル。のんびりくつろいでいた。

脱衣室はさすがに氷製ではない。でも、気温は外と変わらない。然別湖コタンに入る時に確認した気温は、マイナス11度。ここで服を脱いでいる時、僕は「身体が発する危険信号」を感じた。それまで経験したことのない寒さで、1分以上この場にいたらやばい! と温泉に駆け込んだ。

外がそれだけ冷え込んでいると、温泉もぬるいんじゃないか? と懸念する人もいるでしょう。それが、なんともいい湯加減なんです! 湖畔のホテルからパイプを通してアツアツの源泉を常に注いでいるから、外気で冷やされても42~45度前後に保たれているのだ。

そして、湯船から見えるのは、足跡ひとつないまっさらな雪原と雪山。なにも遮るものなく、手つかずの絶景をパノラマで眺められるのは、間違いなく然別湖コタンだけだろう。いつまでもボーっと眺めていたくなる景色だ。

湯船から上がると身体はすっかりホカホカで、服を脱ぐ時ほどの寒さは感じなかった。ちなみに、温泉の隣りには足湯もある。こちらは靴と靴下を脱いでお湯に足を入れるだけだから、気軽に楽しめる。取材時には、女性がふたり、足湯をしながらくつろいでいた。

足湯だけでも十分に温かくて気持ちいい。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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