未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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スーパー公務員が行く! おもてなしに秘められた、まちづくりへの情熱

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.204 |25 February 2022
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#2ようこそ水戸へ!

街の中心にあるホテルから出てすぐに、須藤さんは大きなイチョウの木の前で止まった。水戸駅前の通り「銀杏坂」の由来にもなったというイチョウだ。太平洋戦争末期、水戸大空襲で丸焼けになった大通りに、この一本の木だけが残ったという話を、須藤さんはていねいに説明する。

通りに続く階段を上り、水戸駅北口広場へ。ここで須藤さんは、大きなスケッチブックのようなものをめくり出した。この旧式なプレゼンテーションは……! 「紙芝居」ではないか?!

「みなさん、まずは昨日の試合おつかれさまでした!」と、茨城ロボッツのブースター(バスケットボールにおける熱狂的なファンのこと)たちをねぎらう須藤さん。前夜の試合は残念ながら2点差で惜敗した。さらに手製の紙芝居を一枚ずつめくって、対戦相手の情報を織り交ぜながら、水戸のトリビアを解説していく。水戸市内の道路幅についての豆知識など、都市計画に基づいた解説が多いのも市役所職員ならではの視点だ。

しかしキリッと背筋を伸ばし、理路整然と水戸の歴史と町並みを、時にバスケットボールの話を交えながら紙芝居で解説する、蝶ネクタイとスーツ姿の男性……。なんだろう、このギャップは……! そして、なにゆえに紙芝居なのか……? 不可思議な気持ちと同時に、おかしさがこみ上げてくる。

さらに歩いて、水戸城趾の大手門へと向かう。先導する須藤さんは、私たちが歩いている道が「実は江戸時代には水戸城のお堀だったんですよ」などと、街の小さな秘密を紹介していくのだ。

聞いているブースターたちも、「へえー、なるほど!」と興味津々だ。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
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