未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
199

偶然から始まるミステリーツアー 三内丸山遺跡の謎を巡る

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.199 |10 December 2021
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#91メートルのタイ

ちなみに、魚介類ではマダイ、ブリ、サバ、ヒラメ、ニシン、サメ類、さらにフグの骨も出ていている。フグを食べて大丈夫? という点以外は現代人の僕から見ても、おいしそうなラインナップだ。しかも、驚きの事実が!

めちゃくちゃ太いタイの骨。

「ぶつ切りにされたタイの骨が見つかりました。その骨が非常に大きくて太く、1メートルはあったと言われています」

このタイの骨は、三内丸山遺跡で出土したさまざまな遺跡が展示されている「さんまるミュージアム」で見ることができるんだけど、とんでもなくぶっとくて、現代のタイとはまるで別物。1メートルのタイを見てみたい。

鹿の角はいろいろなものに利用されていた。

そうそう、釣り針はシカの骨で作られていて、簡単に外れないように、現代の釣り針と同じ構造の「かえし」がついているものもある。素材が違うだけで、現代も約5000年前と同じような釣り針を使っていると思うと、縄文人の知恵にしびれる。

さらに! 三内丸山遺跡の縄文人たちはお酒も飲んでいた! ニワトコ、サルナシ、クワ、キイチゴなどを発酵させた果実酒を作っていたと言われているのだ。想像してほしい。新鮮な肉と魚と木の実にお酒。これ、ずいぶんなご馳走じゃない? タイムスリップして、縄文人と乾杯したいよ!

そして、料理にも大活躍していたのが縄文土器。三内丸山遺跡で発掘されたものだけで、10キロ換算の箱に4万箱分も見つかっているというからとんでもない数だ。

「さんまるミュージアム」内で展示されているすごい数の土器。
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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
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