未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
199

偶然から始まるミステリーツアー 三内丸山遺跡の謎を巡る

文= 川内イオ
写真= 川内イオ
未知の細道 No.199 |10 December 2021
この記事をはじめから読む

#8農業の痕跡

縄文人の食生活も、僕が想像したよりずっと豊かだった。動物の肉としては、ムササビ、うさぎ、リス、てん、きじ、がん、かも、しか、イノシシ、たぬき、きつね、かいつぶり、あほうどり、う、ツキノワグマの骨が出土している。そのうち、ムササビとうさぎだけで75%を占める。なんでムササビ? と不思議に思うでしょう。ちゃんと理由があるんです。

「三内丸山遺跡では、栗を栽培していたと言われています。ムササビは栗を食べるので、害獣のような存在で、獲って食べていたんでしょう」

縄文人は食料を行き当たりばったりで採集していたのかと思ったら、栗林を持っていたのだ。ほかにクルミを食べていたほか、マメ類やヒョウタンなども栽培されていたことがわかっているという。植物の管理についての知識と技術があったから、500人もの村民が暮らすことができたのかもしれない。

針葉樹の樹皮を編んだポシェット。今でも使えそうなクオリティ。

しかも! 三内丸山遺跡からは針葉樹の樹皮を編んだポシェットが出土している。そのなかにはクルミが入っていたそうだ。ポシェットに木の実を入れてたって、なんかかわいい!

このエントリーをはてなブックマークに追加

未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。