今年に入ってからは、2月に予定した7日間コースがコロナで中止になったものの、5月、7月、8月にワーケーションコース「週末フォルケ」を実施。そこでもまた新しい気づきがあった。
「一度、週末フォルケに参加してくれた子が、またきてくれたんです。一回、来てくれたらこんなに気軽になるんだ、人間って面白いなと思いました。リモートワークも増えて働き方の価値観も少しずつ変化してるなかで、参加のハードルも少し下がった気がします」(遠又さん)
ふたりはこの夏、大きな一歩を踏み出した。8月24日から9月20日にかけて、27泊28日のプログラムを開催しているのだ。そして、来年の年明けには、3カ月のロングコースも予定している。
働きすぎ、頑張りすぎな日本人がこの長さのプログラムに参加するのは難しいとわかったうえで、それでも魅力にあふれた東川町だからこそ体験できることがあり、その体験を通して感じてもらいたいことがあるのだ。
フォルケホイスコーレで教師を務めるデンマーク人は、こう言っていたという。
「毎日忙しく仕事をしていると、自分がやりたいことよりもビジネス書を読むことを優先するようになったりするでしょう。そのうちに、自分がなにを好きかわからなくなったり、感性もだんだん衰えていっちゃう。だから、一回立ち止まる時間が必要なんだ。フォルケホイスコーレはもう一度いろいろなことを試せるのがメリットで、生徒のときめきを一緒に紡ぐのがフォルケで教える醍醐味だね」
安井さんと遠又さんが東川町で作り出そうとしているのも「一回立ち止まる時間」。
そこにはきっと、これまでにない出会いと気づきが待っている。