未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
184

大煙突は知っている。 絶景のオオシマザクラと天気相談所の秘密

文= 松本美枝子
写真= 松本美枝子
未知の細道 No.184 |26 April 2021
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#5オオシマザクラの秘密

可憐なタチツボスミレ

さて、いったん急な斜面を下って、次なる頂、羽黒山に向かって歩き出す。アップダウンが続く、ハイキングコースだ。しかし山のなかにはオオシマザクラだけでなく、さまざまな春の花が咲き乱れていて、それを見て歩くのはとても楽しい。

ところで日立アルプスの中にはなぜ、ふつうの山桜ではなく「オオシマザクラ」が圧倒的に多いのか? その疑問を田上さんが次のように解説してくれた。

「日立のオオシマザクラは100年ほど前に植樹されたものなんですよ」
なんと今、日立アルプスを覆っているオオシマザクラは自生ではなく、大正時代に人の手によって植えられたものだったのだ。今私たちが山の中で見ているのは、その時に植えられた古木や、種がこぼれて生えてきたその次世代の桜なのだという。

でもなぜこんな広大な山中に、わざわざ桜を植樹したのか。それには日本の近代化において、この街の人々へ痛みを伴った、ある一つの歴史があった。

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
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