未知の細道
未知なる人やスポットを訪ね、見て、聞いて、体感する日本再発見の旅コラム。
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カンヅメは奇跡を生むのか? 小津安二郎のゆかりの「茅ヶ崎館」で書いてみた

文= 川内有緒
写真= 川内有緒
未知の細道 No.182 |25 March 2021
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#3「二番」のお部屋へどうぞ

駅から歩くこと20分。
大正時代の建物をいまに残す茅ヶ崎館は、その柱や庭、家具のひとつひとつに歴史が刻まれていて、別世界にきたようだ。宿の中には外とは異なる時間が流れている。

女将の森治子さんが玄関に出てきて、「二番」のお部屋に案内をしてくださる。女将さんは、四代目のオーナーのところに嫁いできて以来、長年この旅館を切り盛りしてきたそうだ。四代目は、まさに小津安二郎監督をリアルタイムで知る人である。

治子さんは、多数の物書きやシナリオライターを見てきたらしく、部屋を去るとき「ここでお書きになる方はみんな賞を受賞されるんですよ! 頑張ってください」と声をかけてくださる。
これには、テンションがぶち上がった。
「ありがとうございます! 頑張って書きます!」

部屋の大きな窓はそのまま広い庭園につながっている。
すぐに机に延長コードとデスク用ライトをセット。お菓子やナッツも準備し、熱いお茶を淹れるとステンレスの水筒に詰める。布団はすでにひいてあるのであとは書くだけだ。

準備OK!

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未知の細道とは

「未知の細道」は、未知なるスポットを訪ねて、見て、聞いて、体感して毎月定期的に紹介する旅のレポートです。
テーマは「名人」「伝説」「祭り」「挑戦者」「穴場」の5つ。
様々なジャンルの名人に密着したり、土地にまつわる伝説を追ったり、知られざる祭りに参加して、その様子をお伝えします。
気になるレポートがございましたら、皆さまの目で、耳で、肌で感じに出かけてみてください。
きっと、わくわくどきどきな世界への入り口が待っていると思います。