大泉町に住むブラジル人が増え、その子どもたちが保育園や学校に行き始めて、日本人の子どもやその親たちと交流するようになると、町なかや職場での差別は少しずつ減っていった。
役所や病院に通訳が入り、ブラジル人の好みに合ったスーパーやレストランができるなど、大泉町はブラジル人にとってどんどん住みやすくなっている。マリオさんは、それでもまだ日本人との間には文化の違いという壁があると話す。
例えば、日系ブラジル人は、誕生日になると親せきや友人を呼んで盛大にお祝いする。ブラジルでは夜遅くまで騒ぐが、日本では迷惑になるから22時には終わりにしようと呼びかけるという。
お互いの文化を理解し、尊重しあうことで、日本人とブラジル人の関係はもっと良くなる。マリオさんはそう信じて、日本人とブラジル人が互いに参加するイベントを数多く手掛けてきた。その功績が認められて、2018年11月には、東久邇宮文化褒章を受章した。ブラジルの家族に報告したら、とても喜んでくれたそうだ。
インタビューの最後に「ブラジルと日本の心の距離は、近づいていますか?」と尋ねると、マリオさんは「そうですね」とほほ笑んだ。