大泉町へは、都内から電車を乗り継いで2時間ちょっと。大泉町という駅はなくて、西小泉という駅で降りる。そこですぐに僕は、おおっ! と声をあげてしまった。駅舎にサッカークラブのエンブレムのような西小泉駅のマーク、そして鮮やかなイエロー。すでにブラジルっぽさが出ていて、テンションが上がる。
駅で待っていてくれたのは、大泉町観光協会のスタッフ、富樫ジュリアナさん。観光協会は「国際線に乗らず外国を体感できる多文化の町」を掲げていて、「インターナショナルタウン体験」を提供している。僕はそのなかで、「日系ブラジル人が町をご案内」プランを予約していたのだ(1人1000円、5人以上から。1人の場合は5000円。要予約)。
富樫さんの両親はブラジルから大泉町にやってきた日系3世で、富樫さん自身は日本で生まれ育ったから、日本語とポルトガル語に堪能。ひとりブラブラと散策する旅も楽しいけど、地元に詳しく、語学に通じた案内人がいると、町を深く知ることができるから、日系ブラジル人の方が町を案内してくれるのはありがたい。
大泉町は歩いて巡れる小さな町ながら、取材に訪れた日は冷たい風が吹いて寒かったので、観光協会の車で移動することに。車が走り出すと、町なかではポルトガル語の看板があちこちに見える。日本でポルトガル語の看板を見るのは初めてだから、それだけでブラジルにタイムスリップしたような気分になる。