愛媛県西予市
愛媛県の南西部に位置する西予市・野村町。2018年7月の西日本豪雨で大きな被害を受けたその町で、167年続く相撲大会がある。元々はペリー来航の前の年から始まった神社への奉納相撲が今やプロとアマが戦う日本唯一の熱い相撲大会に!相撲好きなら一度は見たい伝統の大会へ、いざ行かん!
最寄りのICから【E56】松山自動車道「内子五十崎IC」を下車
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その町のことを知ったのは2018年7月、西日本を襲った豪雨災害のニュースからだった。愛媛県西予市野村町。町を流れる肘川が氾濫した大変な状況を知らせる地域に住む方のツイッターに、そこが“相撲の町”であることが書かれていた。相撲の町?
私は相撲が大好きだ。女性の相撲ファンを最近はスー女(すーじょ)と呼ぶが、まごうことなき私はスー女。でも、野村町のことは全く知らなかった。さっそく調べてみると……。
野村町は嘉永5(1852)年に町の大半を焼き尽くす大火に見舞われ、二度と火災が起こらないよう火伏せの神・愛宕神社を再建した。その年から『今後100年願掛け相撲を奉納します』と誓ったのが『乙亥大相撲(おといおおずもう)』の始まり。1947年に約束の100年を超えても相撲大会は開かれ続け、今では日本で唯一プロの力士と全国から招待されたアマチュア力士が闘う、相撲の一大イベントとなった。
さらに調べると、過去には横綱・稀勢の里や曙、大関・琴欧州ら人気の力士たちも訪れて街を練り歩いたり、稽古を重ねた地元の人たちも毎年100人以上が相撲を取って、ヤンヤの大盛り上がりになるという。160年以上も独自の相撲大会を開く四国の小さな町――私は並々ならぬ相撲愛を感じ、俄然、興味が湧いた。
しかし、今年は水害で果たして開かれるのだろうか? 行方を見守っていると「これまで166年間一度も絶やすことなく乙亥大相撲を続けてきた先人たちの想いを受け継ぎ、また西日本豪雨災害からの復興を祈願し開催いたします」というニュースが飛び込んできた。これは行かねば! 行かねばならぬ! 私は一路、愛媛へ向かった。
野村町へは愛媛・松山空港から車で約2時間。南西へ約60キロ、山間の町だ。『乙亥大相撲』は最近では毎年、大相撲・九州場所が終わってすぐの11月末の火曜日と水曜日に開かれてきたが、今年(2018年)は11月27日のみの開催となった。
和田静香