さて予想以上においしいカレーに大満足したところで、いよいよアサノさんと展示ツアーに。「まず上演時間が決まってる作品から行きましょう! ちょうど1時から大友良英さんの作品が始まります、急ぎましょう!」と広い館内を移動する。
たどり着いたのは広間。以前はきっと宴会場だったのだろう。たくさんのお客さんが座って待っていた。やがて広間は暗くなり、幕が開いた舞台の奥には、さまざまな家電製品がずらりと並んで、色とりどりのライトで輝いている。音楽家・大友良英さんのサウンドインスタレーション作品「バラ色の人生」だ。
舞台袖にいる男性が、鑑賞の説明をしてくれた後、上演が始まった。たくさんの家電が不意に動き出して奏でるノイズと、名曲「バラ色の人生」のメロディが混じり合う。暗闇に目を凝らすと、どうも先ほどの男性が、なにかを操作しているようである。いったいどんな仕組みなのか……。
上演後に先ほどの男性、渡部和彦さんに聞いてみることにした。渡部さんは以前から「プロジェクトFUKUSHIMA!」に関わっているメンバーだ。なんと渡部さんは大友さんからこの作品の操作方法を教わり、たくさんの家電のスイッチを手動で操作して上演しているのだという! 他にもあと二人、この作品を動かせるスタッフがいて、会期中はその3人で上演を切り盛りするらしい……。なんともすごい人力のシステムである。
さらに鑑賞ツアーは続く。旅館「清山」は、増築を繰り返した迷路のような建物と昭和レトロな風合いが特徴だ。8000㎡にもなる旅館の敷地内には、先ほどの広間のほかにも大広間やバーやゲームコーナー、外には露天風呂、室内プール、ウォータースライダー、戦争資料館まである。もはや旅館というよりレジャーランドだ!
山岸さんやアサノさん、中崎さんたち企画チームは最初、休業中のこの旅館の一部をうまく使って芸術祭ができればいいな、と考えていたのだ、という。しかし蓋を開けてみると、あれよあれよと参加アーティストたちが集まり、結局は客室とメインの施設のほとんどに、作品が設置されることになった。その展示数は、なんと33組。展示の全容が決まったのは、芸術祭オープンのわずか数日前のことだった。
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松本美枝子