さて盆踊りや音楽フェスティバルなど、活動の中心に音楽を据えてきた『プロジェクトFUKUSHIMA!』だったが、「実は当初から、美術もずっとやりたいと思っていたんです」と山岸さんは言う。1日限りの祭りだけではなく、期間の長い展示をベースとした新しい取り組みをできないものか……、企画メンバーたちは、そんなことを思い描いてた。
山岸さんの実家である旅館「清山」は、福島市街地からも近く、これまで『プロジェクトFUKUSHIMA!』の運営拠点のひとつとなっていた。また、さまざまな文化イベントの会場としてアーティストや市民が訪れる場でもあった。『プロジェクトFUKUSHIMA!』にとっても、大切な場所だった「清山」だが、施設の老朽化などにより、去年から休館することになってしまった。
建物というものはいざ使わなくなると、どんどん朽ちてしまう。それなら思い切って、今ここで、前からやってみたかった芸術祭をやってみようじゃないか! 何より、『大風呂敷』という美術的なアイコンも、すでにある。
これまでは世界に向けて、福島県内外で大規模な音楽フェスティバルを展開してきた『プロジェクトFUKUSHIMA!』。だが今度は「実家」という身近で個人的な場所から、新しいプロジェクト『清山飯坂温泉芸術祭』が走り出したのだった。
「自分たちの芸術祭がついにできて、僕らも嬉しいんですよ! これまでいろんな芸術祭に呼ばれてフェスティバルをやっていたときも、うらやましいな、僕たちもいつか芸術祭をやりたいな、とずっと思っていましたから」
そう言うのは、福島市在住の建築家で『プロジェクトFUKUSHIMA!』の企画チームのひとりであるアサノコウタさんだ。アサノさんは、フェスティバルでの櫓の制作チームのリーダーでもあり、今回は作品も出品している。
今日はアサノさんが、この芸術祭の鑑賞ツアーをしてくれるという。アーティストの解説付きでツアーをしてもらえるのは、ぜいたくなことで、ありがたい!
でもその前にひとつ、気になってしょうがないものが、アサノさんの後ろにあった。カレー屋さんである。インタビュー中から、とてもいい匂いがしていて気になっていた。これは絶対においしいに違いない。私と森山さんは、ツアーの前にまず腹ごしらえすることにしたのであった。
未知の細道の旅に出かけよう!
飯坂温泉&「フェスティバルFUKUSHIMA!2018」を楽しむ旅プラン
予算の目安15000円〜
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松本美枝子