栃木県益子町
栃木県益子町といえば、ぷっくりとした分厚い器の益子焼で有名なものづくりの町。町を見回せば、店の外にも中にも焼き物が並ぶ。そんな焼き物が有名な町で、静かに糸を紡ぐ染色・織物職人がいるのをご存知だろうか。紡いだ糸を草木で染めて織るという彼女に会いに益子に出向いた。
最寄りのICから【E50】北関東自動車道「真岡」を下車
最寄りのICから【E50】北関東自動車道「真岡」を下車
秋葉原からおよそ2時間。「やきものライナー」という直通バスを降りると、あたりは焼き物の店だらけ。「益子焼」の文字が至る所に掲げてある。栃木県益子町は、江戸時代から続く陶器の産地。ゴツゴツとした分厚さが特徴の益子焼が有名で、年に2回行なわれる陶器市には全国からおよそ60万人もの人が集まる場所だ。
「せっかくなら陶器市に来てみてほしいけどね、人が多すぎて陶器を見る余裕もないかもしれない」
最初に入った益子焼のお店の人が、そう言って苦笑いしたほど。重たそうな益子焼の器を手にとって驚いた。大振りな見た目からは想像していなかった軽さだ。
今、我が家はどんな食器が足りていないか……そんなことを考え始めてからハッとした。そうだ、今回は陶器を買いに益子町まで来たのではなかった。益子町で暮らすという、染色・織物職人さんに会いに来たのだ。話によれば、彼女は綿から自分の手で糸を紡ぎ、身の回りの植物で染めたものを織るという。
陶器の産地というイメージの強い益子町に、染色・織物職人が住むのはなぜだろう。「ものづくりの町」としての益子町をもっと知りたい。そして自然から織物を作り出す彼女に会いたくて、私は益子焼を置いて、店の外に出た。
ウィルソン麻菜